大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟家庭裁判所 昭和46年(家)2710号 審判 1973年3月02日

申立人 大野藤雄(仮名) 外二名

相手方 水上シマ(仮名) 外五名

主文

一、本籍新潟県西蒲原郡○○村大字○○△△△番地

亡水上円治郎の遺産をつぎのとおり分割する。

(一)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号一〇、一一、一五の各土地を申立人大野藤雄、同大野タカ子が各二分の一の割合の持分を有する共有とする。

(二)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号一七ないし二一の各土地は申立人大野明尚の所有とする。

(三)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号一ないし八、同四一、一六、四三の各土地並びに同目録第二記載の建物及び同目録第三記載の金員はいずれも相手方水上シマの所有とする。

(四)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号二二、四四、二三ないし三二、三八の各土地は相手方水上ハナの所有とする。

(五)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号九、一二ないし一四、三三、三四、四五、三九の各土地は相手方水上英夫の所有とする。

(六)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号三五、四六、三六、三七、四二の各土地は相手方水上参三の所有とする。

(七)  別紙相続財産目録第一記載の土地のうち、物件番号四〇の土地は、相手方田中ケイ、同清瀬カツが各二分の一の割合の持分を有する共有とする。

(八)  相手方水上シマは、

申立人大野藤雄、同大野タカ子に対し、各金一九、〇二一円を、

申立人大野明尚に対し金一五、八七六円を、

相手方田中ケイに対し金二五八、七一二円を、

相手方清瀬カツに対し金二五八、七一三円を、

相手方水上参三に対し金二九、一六五円を支払え。

(九)  相手方水上ハナは申立人大野明尚に対し、

金四三、六四五円を支払え。

(一〇)  相手方水上英夫は、相手方田中ケイに対し、金一〇一、二九三円を、相手方清瀬カツに対し金一〇一、二九二円を支払え。

二  本件手続費用中、鑑定費用金二〇二、〇〇〇円については申立人らが各金七、四八一円、相手方水上シマが金六七、三三七円、相手方水上シマを除いた相手方らが各金二二、四四四円を負担するものとし、その余の費用は申立人らおよび相手方らの各自負担とする。

理由

第一申立の要旨及び事件の経過

申立人ら代理人は、被相続人水上円治郎の遺産分割の調停を求め、その事情として、被相続人水上円治郎は昭和四三年六月一一日死亡し相続が開始したが、その相続人は配偶者水上シマ、被相続人の子であるシマを除くその余の相手方らと被相続人の三女ナカの子である申立人らである。しかし、遺産分割について共同相続人間に協議が調わないのでその分割の調停を求めると述べる。

そこで、当裁判所は本件につき当庁昭和四四年(家イ)第二一八号事件として三一回に亘り調停を行つたが、当初、相手方らが分割による取得分が申立人らの利益のためにではなく、申立人ら法定代理人の利益に費消されることが懸念されるとして、申立人らが成年に達するまでの間の分割禁止を主張して意見が折り合わず、そのうち、相手方水上シマ、同水上ハナと、相手方水上英夫、その妻キヌヨ間の親族関係の不調和が顕在化し、キヌヨが昭和四五年八月、生家に戻り、英夫もその後、母シマ、姉ハナと別居するところとなつて相手方ら側が分裂し、遂に調停は不成立となり、昭和四六年九月二〇日審判に移行した。

第二相続人およびその法定相続分

本件記録中の各戸籍原戸籍謄本及び当庁調査官の調査結果によれば、被相続人水上円治郎は昭和四三年六月一一日新潟県西消原郡○○村大字○○△△△番地の自宅で死亡し、その相続人及び法定相続分はつぎのとおりである。

妻  水上シマ  法定相続分 三分の一

長女 水上ハナ   〃    九分の一

二女 田中ケイ   〃     〃

三女 亡大野ナカ 代襲相続人 長男 大野藤雄  法定相続分二七分の一

〃    長女 大野タカ子  〃    〃

〃    二男 大野明尚   〃    〃

二男 水上英夫  法定相続分 九分の一

三男 水上参三   〃     〃

四女 情瀬カツ   〃     〃

第三相続財産の範囲およびその価格

本件記録中の土地登記簿謄本、当庁調査官の調査報告書、鑑定人倉松誠一の鑑定書、○○村農業協同組合長の回答書並びに相手方水上英夫(第一回)審問の結果によれば、相続開始時における相続財産たる不動産の範囲は別紙相続財産目録第一、第二記載のとおりである(但し、物件番号四五は同三四に、同四六は同三五の各土地に事実上は合併され、その間の区画はなくなつている。)。そして昭和四七年一二月二五日現在の相続財産の範囲並びにその評価額は別紙相続財産目録第一ないし第三記載のとおりと認められる。

ちなみに、同目録第三記載の金員は、米生産調整奨励補助金であるからその支給される性格からすれば耕作者への減収に対する生活補助金であるが、本件のように相続開始後相続人間で未だ耕作者指定のための協議ないしは暗黙の合意の成立を認め得ない場合においては、本来の相続財産から生じた物、すなわち果実に準じた取り扱いをするのが相当であるから相続財産に繰り込むこととした。なお、その余の動産額については金銭的価値のあるものが少いので相続人らは相続財産よりこれを除外することに異議はないものと認められる。

第四特別受益

申立人タカ子、同明尚法定代理人大野忠行並びに相手方水上英夫、同水上参三各審問の結果、当庁調査官の調査報告書によると、相続人らにおいて被相続人から遺贈を受け、または婚姻、養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた者はない。

第五相続分の算定

相続財産の価額の総計は、別紙相続財産目録記載の不動産、動産価格の合計金一七、〇九一、〇四八円である。

これを各相続人の法定相続分に按分して計算すると、被相続人の妻相手方水上シマの相続分は17,091,048円×1/3 = 5,697,016円(以下切捨)となり、被相続人の子相手方水上ハナ、同田中ケイ、同水上英夫、同水上参三、同清瀬カツの各相続分は17,091,048円×2/3×1/6 = 1,899,005円(以下切捨)となり、被相続人の子亡大野ナカの子申立人大野藤雄、同大野タカ子、同大野明尚の各相続分は17,091,048円×2/3×1/6×1/3 = 633,001円(以下切捨)となる。

第六各相続人の職業、生活状態及び分割についての希望

申立人大野タカ子、同大野明尚法定代理人大野忠行、相手方水上英夫(第一、二回)、同水上参三(第一回)の審問の結果、当庁調査官、横浜家庭裁判所調査官の各調査報告書、当庁書記官の大野タカ子からの電話聴取書、水上英夫の当裁判所宛の上申書、及び調停の経過に徴すると、つぎのような事情が認められる。

1  水上シマ(明治二七年九月九日生)は、大正六年二月二〇日、被相続人水上円治郎と婚姻し、同人と共に農業に従事してきた。夫円治郎との間には相手方ら七子(長男弘太は大正一一年一月一九日、生後三ヵ月で死亡)をもうけ、女子はそれぞれ嫁せ、三男参三は分家独立させ、二男英夫に妻キヌヨを迎え、同夫婦とその子達と同居してきた。しかし、シマは、長女ハナが単身離婚して立ち戻つたうえ、同人の性格の偏倚からキヌヨとの摩擦を生じ、英夫夫婦との間が円滑さを欠くに至るや、明確な態度がとれないままに、双方の間にあつて微妙な立場を取つてきた。そして、円治郎の死後、シマ自身、家庭内での主導的立場を主張しだし、ハナと同調する傾向が強まつたため、ハナ、シマ対英夫夫婦の対立関係は顕著なものとなり、昭和四五年、キヌヨが実家に戻り、続いて英夫も家を出たため、現在はハナと二人暮である。シマは遺産である家屋に住み、遺産の大部分である農地を管理しているが、家族の前記状況と昭和四五年来の国の米作調整施策から稲作は全部休耕し、わずかに別紙物件目録第一記載物件番号一六、四三の各土地の畑作をしているにすぎない。

なお、同人に対し、当裁判所は審間のため二回呼出したが、いずれの回も無断で出頭しなかつた。

2  水上ハナ(大正六年四月七日生)は、その間にもうけた女児を夫の許に残して離婚し、以来、生家で暮しているのであるが、生別した子とは交信を全くしていない。

同人は、○○村内○○屋に工員として通勤しているのであるが、性格は頑固一徹で偏倚があるため家族間の不調和の原因となつているので、他の相手方らは同人が家を出てシマと英夫夫婦が同居し農業経営を承継することを望んでいるのであるが、同人は生家に対する執着が極めて強く、円治郎がその生存中に、同人が日常事ある毎に円治郎や家族と対立し、激しい口論、掴み合いの抗争、刃物を持ち出しての粗暴行動をとつたことより精神病院に一時入院させたり、いわゆる勘当扱いをしたことに対しても、同居、慰謝料請求の調停(当庁昭和二九年(家イ)第一六四号、昭和二九年八月一六日申立、同年九月一六日不成立終了。)申立をなした程で、本件遺産である家屋を出ての別居には応じない。同人は、英夫の妻キヌヨに対して特に優位を誇示し、圧力的な言動を取り勝ちで、英夫夫婦と同居中はキヌヨとの対立抗争が絶えなかつた。

同人は、本件遺産を分割することなく、全遺産の管理と農業経営の実権をシマと自らが握つた上での英夫夫婦と同居しての営農を希望している模様である。

同人は、理由を明らかにせず第一、二回審問期日に出頭しなかつた。

3  田中ケイ(大正八年八月五日生)は高等小学校を卒えて女中奉公に出され、昭和二〇年四月一三日一子ある田中彦一と婚姻し、その間に三男一女をもうけている。同人方は夫彦一が田二四ヘクタール、畑〇・一ヘクタールと宅地、住宅を所有し、地域では普通程度を上廻る規模の農家である。同人は一旦相続分相当の遺産の分割を得たうえで、これを母シマの扶養を引き受け、農業を承継する者に譲りたい意向のようである。

しかし、同人も理由を明らかにせず第一、二回審問期日に出頭しなかつた。

4  水上英夫(昭和三年五月三日生)は、長兄弘太が夭折したため、水上家の承継者として高等小学校を卒えると直ちに円治郎と共に農業に従事してきた。同人は一度大竹サヨリと婚姻したものの離婚し、昭和二九年一二月二七日飯田キヌヨと婚姻し、その間に長男武男、二男久をもうけたが、結婚当初から妻キヌヨと姉ハナとは円満さを欠き、事毎に二人は対立抗争する状況が続き、遂に、本件調停の進行中、キヌヨが久を伴つて生家に戻る事態となり、英夫はハナと別居することの困難さから母シマとの同居、農業承継を断念して家を出、英夫一家はキヌヨの生家の援助により新築したキヌヨ名義の居宅で生活している。

同人は以前から農閑期に隣市○市に研磨工として通勤していたのであるが、最近は特に農業の機械化からその機会も増え、別居後は全く農業を離れ研磨工として働いている。妻キヌヨは英夫との別居を機会に工員として働き始め、現在も継続している。英夫夫婦はその長男武男を農業承継者として教育すべく農業高校進学を準備していたのであるが本件申立を契機として自動車修理技術習得のため職業訓練所へ入所させた。英夫夫婦にとつては、二男久が唖の障害を持つため養護施設○○学園に入園させ訓練中とはいうものの、その将来の進路は困難が予想されることから子らの将来が心配の種となつている。

同人は前記の家族の状況から農地の分割取得を強く希望し、本件相続財産中別紙相続財産目録第一記載物件番号三四、三九、九、一二、一三、一四の各土地の取得を希望している。

5  水上参三(昭和四年一〇月一九日生)は高等小学校を卒えて○○飛行機工業に機械工として就職し、終戦後、機械工として再就職するまでの数年間円治郎の農業を手伝つた時期を除いて、おおむね機械工として働いている。同人の妻セツも工員として働いており、子は中学生の長男順一のみで、その生活は応安定している。同人は本件遺産中別紙相続財産目録第一記載の物件番号三七、四二の各土地の取得を希望している。

6  清瀬カツ(昭和九年五月一三日生)は中学校卒業後家事を手伝い、昭和三七年清瀬徳次と婚姻した。夫徳次は工員で四七坪の宅地と建坪二〇坪の居宅を所有し、夫婦間には長男徳宏(昭和四三年生)があるのみで生活は一応安定している。同人は相続分相当の遺産の分割を得た上でケイ同様水上家の承継者に取得分を譲りたい意向のようである。

しかし、同人も理由を明らかにせず第一、二回共審問期日に出頭しなかつた。

7  大野藤雄(昭和二六年八月一四日生)は被相続人円治郎の三女大野ナカの長男である。母ナカは昭和三九年三月一二日交通事故で即死したのであるが、その生前においては、夫大野忠行が生業である農業に身を入れて働かず、農作業のほとんどを忠行の母トキとナカにさせて遊蕩し、父祖伝来の農地の大半を売却費消してしまう程の生活振りであつたうえ、窮迫してきた家計を支えるためナカが他に働きに出、忠行の命ずる農作業の指示に従い難くなるや、家業をしない者は家の飯を喰うななど放言するようなことがあつたため、夫婦の仲は不和で、ナカは二男明尚を伴つて被相続人方へ戻り、当庁において夫婦の同居協力扶助の調停(昭和三七年(家イ)第二四三号)を求めたこともあつた。同調停事件は同居協力、扶助認容の審判がなされて終了し、忠行とナカは再び同居したのであるが、ナカはその後一年足らずで死亡し、ナカの事故について支払われた自動車損害賠償責任保険金百数十万円を忠行は自己のために勝手に費消してしまつたし、残つていた田地三反もその後売却してしまい、現在は再婚した妻智子とともに工員をしている。

藤雄は前記のような父忠行の行動から同人に対しては不信感を抱いており、父子は融和していない。同人は中学卒業後叔父参三の世話で○市で住込工員として働いていたのであるが、現在は肩書地に転じ同会社で工員として働いている。

同人は、当初、水上家承継者との親交の維持のため分割を希望しなかつたのであるが、水上の家族間の事情の変化からして遺産のうち別紙相続財産目録第一記載の土地のうち字○○所在の土地の取得を希望している。

8  大野タカ子(昭和二九年二月一九日生)は中学校在学中より親権者父忠行との間が融和を欠き、母方祖母であるシマ、英夫夫婦方へ度々往来していたところ、県立高校の入試に失敗して家出し、シマの許で数日を過すうち、タカ子の家出がシマらの差し金によると誤解した忠行が当庁において英夫を相手方として子の引渡を求める調停を申し立てたりしたため、タカ子と父忠行の間は更に離反するところとなり、タカ子は英夫、参三の援助を得て上京し、現在食品会社事務員として同会社寮に住み込んで働いている。同人は兄藤雄とは親和し、互に連絡し合つているが、父忠行からの連絡を嫌つている。忠行は何故か、タカ子の法定代理人としての審問の折にも、タカ子の現住所、職業を秘匿し答えなかつた。遺産の分割について、忠行は、タカ子のために相続分相当の現金若しくは別紙相続財産目録第一記載の物件番号一五、一七ないし二一の各土地の取得を希望しているが、タカ子自身としては取得を希望していない。

9  大野明尚(昭和三一年七月七日生)は、父忠行と同居し、○○高等工学院自動車科一年に在学中である。

第七分割の方法

被相続人の遺産の主要部分は農地であるからその遺産分割においては農業基本法、農地法の理念を無視することはできないが、農地の遺産分割の場合に従前の農業経営をなるべく共同相続人の一人に引き継いで担当できるよう配慮しなければならないというのも、農地の分割により農業経営の規模が零細化し、それはとりもなおさず従来農業経営を担当してきた者あるいは担当を予定していた者を失業させその者の家族の生活の基礎を覆滅することになるからである。

ところで、本件においては、農業承継者と予定され自らもこれを期待してきた英夫が、シマ、ハナを始めとする相手方らから求められる承継者たることへの附随的条件の過重な負担に耐え切れず敢えて承継者となることを断念したものであるし、英夫の外には相続人中に承継者となる適格者はいない。もつとも、シマとハナは分割に反対の意向を示すことで同人らが承継者となることを主張しているようにも考えられるが、シマは七九歳の老齢でこれまで農業経営の主体としての経験に乏しく、ハナもその過去の経歴、性格からして、しかも同人らが英夫が別居して以来数年来は畑作の一部は継続しているものの他の全農地を休耕している事実からすると、同人らが果して今後専業農家として農業経営を維持していけるものかどうか疑問である。また、○○村地域においても、最近の農業の合理化の傾向からして本件遺産の総農地一・五ヘクタール程度の保有地では農業形態は必然的に兼業化せざるを得ないすう勢にある。しかも、英夫にせよ、シマ、ハナにせよ、同人らがそれぞれ一括して本件遺産農地を取得したとしても、その相続分の価額を超過する分を他の相続人らに支払うための債務負担に耐えられる程の資力はない。それかといつて、同人らが共同して一括取得し、連帯して債務を負担する方法は、英夫夫婦とシマ、ハナ間の人間関係からして、将来、共有財産の管理を巡つて紛争が生じることは必至であり、好ましい方法ではない。

以上の事情からして本件においては農地の分割はやむを得ないことと考える。

つぎに申立人らに対する分割方法について考えるに、申立人藤雄は、父忠行が同申立人のために本件申立をなしているにかかわらず、その当初の頃から忠行とは意見を異にし、成年となつた現在では忠行が同人のため希望している土地と異る土地の取得を希望している状況にあり、申立人タカ子はまた、父忠行との交信さえ嫌つており、忠行はタカ子の意思を正確に把握し得ていないし同申立人らは忠行に対し不信感を抱いている。同申立人らが忠行に対しこのような態度をとることについては忠行の過去の行状からしてあながち理由のないことではなく、同人が法定代理人として果して真に同申立人らの利益を配慮しているかの点では疑問なしとすることができない。そうとすれば同申立人ら自身の意思は尊重せねばならないし、同人ら自身のために利益が確保される方途を講ずべきことも当然のことである。そのためには遠い将来はさておき、さし当つては同申立人らの取得分は同申立人らの間の共有とするのが好ましい。

それでこれに前記各相続人の事情並びに本件遺産の位置、状況を加味して主文(一)ないし(七)のとおり現物分割をすることとし、これにより相続分の価額に満たない申立人藤雄、同タカ子に対しては、これにより相続分の価額を超過した相手方シマが主文(八)のとおり、同じく相続分の価額に満たない申立人明尚に対しては、同じく相続分の価額を超過した相手方ハナが主文(九)のとおり、同じく相続分の価額に満たない相手方参三に対しては、同じく相続分の価額を超過した相手方シマが主文(八)のとおり、同じく相続分の価額に満たない相手方ケイ、同カツに対しては、同じく相続分の価額を超過した相手方シマに主文(八)、同英夫に主文(一〇)のとおり超過分をそれぞれ支払わせることにより平均せしめ、円未満の端数計算上生じた四円はシマに取得させることとする。

以上のとおり各相続人に分割取得させることとし、申立費用につき非訟事件手続法第二七条、第二九条を適用し、主文のとおり審判する。

(家事審判官 井野場明子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例